アーカイブ: 12月 2015

歯が汚く見える原因はなに?

歯が汚く見える原因はなに?
「歯を白くしたい」という希望に応えたい、歯科医師側としては「なぜ歯が汚く見えるか」という原因を探りだすことが大切です。
以下、主な原因を4つ記します。
①外因性着色
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歯面に付着しにくいステインは、当然歯を汚らしく見せる原因となります。
この類の着色はとくにオーラルケアの上手、下手に左右され、更に歯冠形態や歯面性状、あるいは歯並びや咬合の不正なども
付着を増加させる要因となります。
また、喫煙、赤ワイン、コーヒー、紅茶、コーラ、ウーロン茶、カレーなどの反復摂取は着色を悪化させ着色程度はこれらの種類摂取していた期間
頻度により大きく異なります。

②内因性着色
エナメル質や象牙質の構造変化が色調を不自然の見せており、
簡単にいえば歯質自体に着色がしみこんだようなものがあります。
疾病や外傷、あるいは薬剤の副作用の原因となりますが影響をうけた時期はより2つのタイプにわけられます。

i)歯が萌出前に影響を受けた場合、ほぼ歯列全体に変色を起こす特徴があります。
歯の一部が欠落しているエナメル質象牙質の形成不全症はフッ素の摂取過多で起こるフッ素沈着症も内因性変色の一例です。

また、日本で多く見られるのがテトラサイフリン糸抗物を原因としる変色で小児期にラトサイフリンを服用した場合には成長段階で変色が現れ、また母親が妊娠後半期に服用した場合も同様の影響が見られます。

i)歯の萌出後に影響を受けた場合、変色の多くは歯列全体ではなく一歯だけに限定されることが特徴
歯科材料も変色原因となりアマルカムに代表される金属修後物の成分からも着色因子となります。
また、抜髄行為も変色原因となり他にも転倒による打撲で歯髄が退行性変化を起こして変色します。

③高齢化
高齢化に伴い黄ばみが目立つようになるがこれは病的要因ではなく加齢により徐々に歯の色調が変化する自然現象。象牙質が歯頚部方向への原子を増すなどの
要因も加わり色調が深くなるものと考えられます。

④DNAによる強い黄ばみ
DNAによる強い黄ばみに病的な因子が作用している場合もありますが通常は肌の色、髪の毛の色と、同様に遺伝子に含まれる情報が黄ばみの強い歯にすることがあります。

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肺炎と歯科インプラント

今やここ現在の日本では歯の欠損部・喪失部における補填治療にインプラント治療は不可欠なものとなりました。完全に市民権を得ていることと、これはあくまで喪失してしまった歯への補填治療であって、永遠の安全を保障するものでもないことも周知のこととなりました。一生保障などという如何わしいコピーも今は昔のことになりましたね。

さて、このように発展してきた歯科におけるインプラント治療ですが、進歩発展していく中でさらに理解しわかってきたことを集結し、今後の未来に向けたさらに安全なインプラントの考え方の一つを今日はご紹介したいと思います。

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ブランパ銀座歯科

 

そうです、ただその時だけ歯があれば成功というインプラントの時代から、メンテナンスが必要とされ、さらにサバイバルレートが伸びてきた現在のインプラント。それこそ歯を失った時からインプラントによる人工歯となり、生涯をそのインプラント歯で過ごすことも可能な時代です。そこで、私たちの身体の一部としてのインプラントですから、さらに必要な考え方を加えたものが今日ご紹介するインプラントの新常識です。書き進めていきますね。

 

新インプラントの常識 (誤嚥性肺炎問題を考慮して)

 

現在は高齢化社会です。人口ピラミッドのゆがみも指摘されてはや20年も経過しそうな今。私たちは如何に死にゆくかという命題を背負って生活しています。その中では、なるべく自立して他の介護者のお世話にならないという目標もありますが、さすがにそうだけとも言ってはいられません。どなたかにご厄介いただくことや、介護施設の中でターミナルに向かっていくことも考えあわせなければいけません。そのなかでも美味しくお食事をすることはとても重要なQOLです。入れ歯で不自由よりも、歯がなくて不自由よりも、インプラントがアドバンテージを持っていることは明白です。しかし・・・

しかし、もし自分の四肢が不自由になり、どなたかに介助を受けながらご飯を頂くことになったとしたら、どなたかに歯ブラシをしていただかなければ歯も磨けないという状態になったら。そうです、インプラントはお掃除が大事です。このような状態になり、他の歯は入れ歯を外すことでとても口腔内の衛生状態をよい状態で保てるのに、インプラントのある部分だけが人工的な異物の突出した状態で清掃できない、清掃しにくいということも実際の介護現場では多く聞かれるようになってきました。

また、この状態でもなかなか介護の手が回らず、口腔内が不潔なままでお過ごしになっていらっしゃる方の数や、一部にだけインプラントによる異物の突出のため、咀嚼機能が低下している方々の数は増加傾向にあります。

 

そこでこれらの負の事象の解決策として、手術の必要なく、口腔内からインプラントを外せること。あるいは、とても小さな手術でインプラント及びその周囲の人工物を口腔内から撤去できることが必要となることがわかってきました。特に介護などを伴う生活の方には健康状態の低下や、合併症などを有することも多く、口腔内の歯科的な外科処置も、お身体には負担が大きく、不可能なケースも考えられます。

 

さらに大きな問題として、肺炎により死に至るということも大きな問題です。特に高齢者の中に大流行な誤嚥性肺炎という問題、ご存じでしょうか。今や、私たち日本人の死因の第2位が肺炎です。この肺炎と、お口の中の衛生状態が大きく関わっています。

高齢者や合併症などを有する有病者は、身体の力、免疫力や抵抗力が劣ってきます。口腔内の不潔なものが気管から肺に落ちてしまい、肺炎に罹患してしまうケースがとても多くなってきているのです。

 

ご理解いただけたでしょうか。無歯顎(歯が1本も残っていないこと)の場合、たとえ総入れ歯が入っていたとしても、それを外していただければ、至極口腔内は単純で清掃しやすい口腔環境に出来ます。うがいやガーゼで拭えば清潔を保ち、誤嚥性肺炎のリスクを軽減できます。

ご自身の自然な天然歯の歯列の場合、虫歯や歯周病などにより痛みや違和感、歯の動揺により治療の必要性や、抜歯の必要性はある程度自覚症状によりご自身でも判断できます。

ではインプラントはどうでしょう。他の歯が歯周病で抜けてしまった後にも顎骨内に深く固着しているインプラントは容易に取り外せません。よくご高齢者で、歯が無いのになんでも召し上がれる元気な方をテレビで観ることがあります。100歳を超えてもとても素敵な笑顔とお寿司が大好きと言って大きなお口でお寿司を頬張るキンさんは、私の脳裏にも張り付いています。これは顎の土手といわれる歯茎の部分で、ある程度咀嚼できているのです。でもこの中に1本だけでもインプラントが突き出ていたらどうなるでしょうか。かみ合わせのバランスが悪く、噛むと対合する顎にインプラントが食い込み痛みの出ます。痛くて噛めない、そして、そのインプラント周囲にはみがき残しによる汚れも付着していきます。この不潔域から気管を通り肺へばい菌が入り込みます。お食事もまともに噛めない体では身体の抵抗力も低下しています。そうです、ドーン! 肺炎に罹患します。

 

脅かして申し訳ございません。でもこれは現在の高齢者社会で起きている事実です。インプラントはとても重要で必要な治療法です。いま一つ合わなくてよく噛めない入れ歯や、喉の奥まで覆う入れ歯が発声や装着感に違和感をもたらしたり、必要以上に歯を削り必要以上に歯を繋げることも必要としません。現在では欠損部への最高の歯の修復法の一つです。これはインプラント治療に四半世紀携わってきた私も実感しています。今更インプラントを一概に危険だ、なんて申し上げるものではありません。インプラントは人類にとって素晴らしい歯科治療法です。もちろん天然の歯が一番よくて、この天然の歯を無理に抜いてまでインプラントにすることには抵抗勢力の歯科医師ですが。

 

要は、高齢や要介護の状態になってしまった時でもアドオンできるインプラントを考えましょうといいたいのです。

上部構造(歯の形の部分)はネジを逆に回せば外れる構造。アバットメント(人工歯根と上部構造を繋ぐ土台の部分)もネジを外せば平らな歯茎になるタイプのインプラントフィクスチャー(人工歯根)は簡単な手術でも外せる長さ(短い方が有利)、おおよそ10ミリ未満のインプラントが好ましいということです。もちろん直径も4ミリくらいまでが良いかもしれません。もちろんインプラントメーカーにより強度などが違います。

また、インプラント周囲にもなるべく生体の異物である人工骨などは使い過ぎず、既存の状態に適応できる無理のない治療計画・治療設計が求められます。

 

現在の私は、なるべくインプラントの本数を減らすために長くて太いインプラントを使用するのではなく、なるべく短く細いインプラントを適材適所使用するように努めています。

 

少なくとも歯科医師の配慮で誤嚥性肺炎を増やさないように考え続けたいと思います。今私が考えていることが全てではないでしょう。でもできれば多くの歯医者さんがテーマをもって、考慮してインプラント治療の選択していくことが重要です。インプラント治療をこれから選択なさる方は、是非ご担当医のお考えをよく理解し、治療法をご選択くださいませ。

私のインプラントに対する考え方を簡単に紹介しているサイトも合わせてご覧くださいませ。

インプラントの不安

 

最後までお読みいただき感謝です。少し乱文にて終わりましたが、また後日改訂していきますね。(銀座メディカルデンタルクリニック 歯科医師 山内浩司)

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 カテゴリ:インプラント, ターミナルケア, 誤嚥性肺炎, 誤嚥性肺炎 and tagged ,

まったく新しい歯医者の3Dデジタル型採り

こんにちは、歯科医師の山内です。

表題の、「まったく新しい歯医者」、というわけではありません。なにしろ私は四半世紀も歯医者をしていて新しいどころかすっかりベテランでございます。

今日お話しさせていただく新しいとは、歯医者さんで行う型採りのことです。歯医者の型採りというとご経験のある方は、そうです、あの粘土みたいなドロドロとしたゲルをお口に入れて、「はい、では固まるまで少々お待ちくださいね。」というやつです。

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主な材料は、アルジネートやシリコンです。かなり緩いゲルなので時に喉の奥まで流れ込みます。あるいはそのような感じが皆様のお口の中やのどの奥に伝わります。何となく気持ち悪いという方だけではなく、本当に本当に苦手の方も多くいらっしゃいます。特に嘔吐反射が強いといって、歯ブラシなどを奥歯の方に運ぶだけでも「オエッ、」としてしまう方にとっては、この歯医者の型採りは地獄ですね。斯く言う私自身も小学生のころから耳鼻科の検診が苦手で、喉の奥を見られるときにお粗相をしてしまった思い出を持っています。

 

本日紹介させていただくNew歯医者の型採りは、このいままで当たり前だったゆるゆる粘土の型採りとは全く違う、画期的かつたいへん精密な型取り法なのです。

現在私たちの世界では、「光学印象」と呼んでいます。光学というように、3Dのデジタルスキャナーで口腔内を撮影し、デジタルデータ化したCG(コンピューターグラフィック)上で設計し、歯の形に合わせて修復歯を作製します。作製するところまで全部の呼称は、3DスキャナーCAD/CAMデジタル歯科技術というのでしょうけれども、本日はこの中の光学印象の素晴らしさをお話しいたします。

 

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スキャナーは今現在私たちが採用しているSirona社製のものは写真をご参照くださいませ。このカメラを口腔内の各当部位にあて、撮影を行います。少しコツがあって、数秒というわけにはいかず、数十秒掛かることもありますが、必要なだけご開口頂き、水分などは一切使わず、たいへん正確なデータを採取することができます。

 

ご存じのようにデジタルデータはアルジネートや石膏のように変形することもなく、採取した当初のデータ通りに作業を進めることができるメリットがあります。

オエッとなる従来の歯医者の型採りのような煩雑さや不快感も少なく、何より精密なことが嬉しいですね。

もちろん機械を使う人の技術や習熟度、デジタル技術に対する理解度で、やはり出来不出来は違いが出ます。最後は人と人のリレイションですが。

 

その後のCAD=デジタル設計、CAM=デジタル製作を経て一通りデジタルデータ上だけで修復歯をかたち造ることができるようになりました。ただし、さらに細かい技術に関しては日本の優れた歯科技工士さんたちに仕上げを確認いただいております。

 

今現在はごく一部の歯医者さんに限られたテクニックではございますが、今後は必ずこのデジタル技術へ変遷していきます。まずはその新しい歯科の世界のパイオニアとして舟をこぎだした私たちです。まだまだ技術革新の途上でもありますが、ご興味がおありの方には是非お気軽にお問い合わせいただきたいです。

 

型採りでさんざん苦労なさった患者さま、オエッとなりはしないかと不安でいっぱいな患者さま、虫歯を治さないといけないのはわかっていても、なかなか通院する時間の取れない方にはお力になれる自信があります。どうぞお気軽にお越しくださいませ。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

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 カテゴリ:3Dデジタル歯科, 光学印象(口腔スキャン)

金属アレルギーと口腔の3大因子

金属アレルギーとはある種の金属が原因で起こるアレルギーのことです。

アレルギーとは免疫の異常反応のことで、体内に侵入した異物を排除するための身体の機構を免疫抗体反応と呼びますが、本来の免疫機能が過剰にはたらき過ぎ、人体に悪い影響を及ぼしてしまう状態がアレルギーです。

金属との接触部に起こる接触皮膚炎(部位によっては粘膜炎)が代表的です。歯の治療に使う詰めものの金属が原因となって起こるケースや、直接金属と接触していなくても、症状が相当酷くなったケースでは、まれに食物に含まれる金属に対してもアレルギー反応を起こす場合もあるようです。

また金属イオンが血流によって全身に運ばれると全身性皮膚炎を起こすという報告もあります。

 

 

【口腔における金属アレルギーのメカニズム】

 

金歯・銀歯・アマルガムなどの「金属」が汗や唾液などの体液に溶け出し(イオン化)、体内に入りタンパク質と結合し、身体がこの結合物質をいったん「異物=外敵」と認識すると、免疫を作り身体を守ろうとします。この免疫が過剰に間違って働き、皮膚の炎症など人体に悪い影響を及ぼしてしまった場合、金属アレルギーを起こしたといいます。

 

 

【口腔におけるアレルギーを起こしやすい3大金属 】

 

口腔におけるアレルギーを起こしやすい3大金属、と銘打ちましたが、実際は口腔だけでなく、全身的にほとんどの金属アレルギーの原因は現在以下の3つとされています。

 

ニッケル・コバルト・クロムです。

 

実はこれらの金属は、私たちのお口の中でもたくさんの物に使われています。

もちろんみなさまもご存じの1円玉はニッケルですし、ヘアピンやピアス、ネックレスなどの装飾品にもニッケル・コバルト・クロムを含むものは多くあります。

一般的な金属アレルギーの症状や、アレルギー検査(パッチテスト)などに関しましては。またの機会と致します。

では、ここから先は大まかな金属アレルギーのことではなく、お口の中にある金属アレルギーの原因になり得るものについて3大要因としてお伝えしていきたいと思います。

 

 

≪金属アレルギーと口腔の3大因子≫

 

①銀歯

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銀歯は私たち日本人のお口に最も多く使われてきた虫歯などの修復材料ではないでしょうか。あなた、またはご家族、お友達の中にも笑った時などに銀歯が目立つ方がいらっしゃるかもしれませんね。

この銀歯、多くの場合は合金です。主な成分として銀の含有量が多いものがほとんどですが、その中には上記の3大要因であるニッケル・コバルト・クロムが含まれているものもあります。これらも銀歯は本来歯とくっついていることが多く、歯科治療により外してもらわないと撤去できないものです。

 ②入れ歯(義歯)

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入れ歯には人工の歯の部分、人工の歯茎の部分、フレームと呼ばれる全体を繋げる入れ歯の構成主要素、クラスプと呼ばれる残存歯に引っ掛けるようにして使用する爪の部分(部分入れ歯の場合等)という構成要素があります。

人工の歯と歯茎は主にレジンやセラミックスという金属ではない材料で作られています。フレームもピンク色のレジンという樹脂が多く使われていますが、さらに強度と薄さ(装着感が良好になる目的で)のために金属を使うこともよくあります。クラスプにも合金が使われます。

特に入れ歯には以前からコバルト・クロム合金フレームが常識的に使用されていた時期が長くあり注意が必要です。

 ③ポーセレンメタルボンド(焼き付け陶材冠)&レジン前装冠

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ポーセレンメタルボンドとは実は見える部分にセラミックスを焼き付けた、とても審美性を重視した歯への被せ物です。なので、通常は白い歯であり、金属とは無縁のように思われている方もおいでかも知れません。

しかし、これも歯と接する部分に金属がつかわれており、その部分をフレームと呼んでいます。セラミックスとの良好な接着(焼き付け)の際に、金属表面に酸化膜が必要なため、主に合金化使われています。この中にもニッケル・コバルト・クロムが含まれている場合があります。あなたに白い歯も、全部がセラミックスのオールセラミックスなのか、一部金属を使用しているポーセレンメタルメタルボンドなのかは主治医に確認いただいておいた方が良いかもしれません。

レジン前装冠も、上記のセラミックスの部分にレジンという歯の色に近い樹脂を用いたものです。
④その他

また、お口の中には、ジルコニアとよばれる白い歯科材料や、アマルガムと呼ばれる黒い歯科材料もあります。
ジルコニアは別名ホワイトメタルとも呼ばれており、金属のような元素組成をしています。まだこれからの歯科では新材料ですので、さらに安全性を確認していきながら私たちの口腔材料へと昇華していくことでしょう。

アマルガムに関しましては、金属アレルギー以上に水銀毒の問題で多く取り扱われている事象がございます。今回の内容にはあえてアマルガム毒に関しては明記しませんでした。しかし、大変重要なことですので、また別章にてお話しさせていただきましょう。

インプラントも最近では日常的に口腔内で使用されている口腔材料です。素材はチタンやその合金です。チタンや金(ゴールド)などはとても私たちの生体と親和性が良いとされてきましたがやはりアレルギー報告は出ていますので、詳細は皮膚科との連携が必要です。ご自身でも何か自覚症状があるようならばお気を付け頂き、適切なご対応をなさっていただきたいと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。ご質問などはどうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。

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 カテゴリ:セラミックス, 金属アレルギー, 銀歯

セラミックス(最新CADセラミックスまでの道のり)白い歯の歴史

今回のお話しは、セラミックスといっても包丁やハサミではありません。歯の虫歯などの治療後の修復物としてのセラミックスです。

 

【オールセラミックス以前の歯への詰め物・被せ物】

少し昔は歯に詰めるものとして、アマルガムという銀合金や、金パラと呼ばれる銀歯、または金箔等でした。

その後、歯に色の近い樹脂であるレジンや、ポーセレンメタルボンドという金属の上にセラミックスを焼き付けたものが開発されました。

 

そして現在は、オールセラミックス(ジルコニアも一部も含む)に代わってきました。

 

メタルはご存じのように、歯茎の黒ずみや金属アレルギーなどの不定愁訴の発現で、必ずしも口腔内にて好ましくないことがわかってきました。もちろん審美的にもお好きではない方の方が多いようです。

さらに、アマルガムによる水銀中毒の怖さも周知されてきています。

ポーセレンメタルボンドも金属を使用する修復物であり、金属の負の特性を併せ持ちます。もちろんセラミックス表面の見た目においては大いに審美的で、私たちの日常には欠かせない歯科補綴修復物として今日まで来ました。とても恩恵を受け続けている芸能人の方なども多くいらっしゃいますね。ただし少し歯茎が黒い方はそろそろ交換の時期かもしれません。

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ポーセレンメタルボンド。金属の上にセラミックスを焼き付けているため、金属による 黒い線が歯茎に出てしまいます。

 

そして、今日お話しさせていただくセラミックスは、そのセラミックスという名前の前にCADが付くものです。

 

 

では、歯に使われる一般的なセラミックスのお話しから始めましょう。

歯に使うセラミックスは、みなさまご存じ食器で有名なNoritake(ノリタケ社)などのものや、歯科器材メーカーのものを使います。

従来はセラミックスパウダーと水を小筆などで築盛し、コンデンスという水分を抜く作業ののち形態を整え、ファーネス(炉)で焼成してきました。この製法では、粉液比が均質に行うことが難しく、気泡が迷入したり、作業環境内のチリなどが混入してしまい、劣化を早めたり、気泡などの混入により、欠けやすくなり、実際にお口の中で壊れる原因などになっていました。

また、以前のセラミックスの焼成温度は900~1000℃とたいへん高温で、本当の私たちの歯質よりはるかに硬い物でした。これは、対合歯が天然の歯である時に、その歯を過度に削ってしまうという問題点も有していました。

そこでそののちに低溶陶材という焼成温度が700~860℃のセラミックスが開発されました。焼く温度を低くすることで硬さを少し低下させ、歯に優しい方向へ振ったものとなりました。しかし、これはもろ刃の刃と同じで、もろく欠けやすいという問題点が付いて回り続けました。

これらのセラミックスは歯の支台に合わせた金属のフレーム上に焼き付けて貼り付けました。ポーセレンメタルボンド、焼き付け陶材冠などと呼ばれました。

 

【オールセラミックス以後の歯への詰め物・被せ物】

そしていよいよプレス(キャスタブル)セラミックスと呼ばれる鋳込み型セラミックスが開発されました。現在はこの中のもので進化したe.max press(ivoclar社)が皆様に使われているセラミックスの主力です。Opc system(pentron社)、In-ceram(vita社)や、ips empress(ivoclar社)という製品を 凌駕しての現在があるようです。このセラミックスのいいところは、ロストワックス法が使えるので製作上形態が容易につけやすく、比較的気泡が入りにくいというものです。塵や埃はは実際には混入してしまうようです。

ここの材料からオールセラミックスというメタル(金属)を使用しないクラウンが可能になりました。これはおおきな利点であり進歩でした。

金属を使わないということは、今まであった金属による弊害を払拭できることと、金属にかかる費用を軽減できることです。さらに、審美性において透明感という絶対的なアドバンテージを得られるものでした。

ここに至っての今日の私はノンメタルでの修復・補綴がベストとしか考えられません。なぜかというまでもありません、いいことづくめですね。金属を含むのもとの比較は歴然です。

 

ただし、インプラント補綴などの大きなアーチ型の被せ物となると、オールセラミックスでは困難です。強度の面で、大きくなるほど破折しやすいからです。そこで現在はジルコニアという白い素材をフレームにします。ジルコニアはセラミックスと一緒くたにする向きと、ホワイトメタルとして金属寄りだと考える向きがあるようです。接着方法や、歯質より硬すぎるということで、まだ発展途上ではありますが、白色であり強度があるという意味では今後さらに多用されていくことでしょう。硬さも少し緩和してきています。

 

ここまでがおおよその今までのセラミックスや銀歯などの歯科における修復物の進化です。さて、ここからが本日の本題、CADセラミックスです。CADセラミックスも、上記のジルコニアではなく純粋なセラミックスです。そうそう、ハイブリッドセラミックスという製品が数種類ありますが、これらは実際にはセラミックスには分類いたしません、レジンだからです。レジンにセラミックスの粉砕粉が含有していますが、実際の特性はレジンです。

 

CADセラミックスとは?

CADとは、Computer Aided Designのことです。設計にコンピュータを用います。最新の歯科の型採りでは光学カメラを使い、歯のデータを従来の石膏模型ではなく、デジタルデータとして保存します。このデータをディスプレイ上のメディアを使っていわゆるバーチャルにて設計を行います。このために開発されたセラミックスがCADセラミックスです。

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セレックシステムのCAD

精密な3Dデジタルミリングマシーンがこのセラミックスブロックを削りだす作業をCAMといいます。CAMとはComputer Aided Manufacturingのことです。つまり、CAD したものをCAMすることが一体化して新しい歯科修復システムは動き始めました。因みに型採りも光学印象といって、カメラでお口の中を撮影するだけなので、嘔吐反射やお口の周りが汚れてしまう従来の歯科の型採りとは大きく違います。

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CAD/CAMにより製作されたオールセラミックス(e.max CAD)ラミネートべニア

 

 

この目的のために、CADセラミックスは工場の中で既定のブロック型に作成されます。

ここが従来の歯科技工と大きく異なります。従来は患者さまから採取した型から起こした石膏模型上で築盛、またはロストワックスしたファーネス内でセラミックスを焼成していました。つまり、技工所や院内技工所でセラミックスを1から作っていたわけです。もちろんチリなどが混入しないようにとても清潔な環境の技工所もたくさんあります。が製作の特性上気泡や塵の混入があり、セラミックスの均質性を維持実現することがとても難しい物でした。

一方CADセラミックスはヨーロッパの一流メーカーの工場で時間をかけて生産されるため、セラミックスの組成が非常に密で均質に仕上がっています。これが大きな特徴であり大きな進歩です。ついに常に状態のベストのマテリアルをデジタルデータという誤差の生じない設計より製品化することが一歯科医院単位で可能になりました。製作工程と材料の安定性により、今まで不可能とされてきたオールセラミックス(ジルコニアではなくの意味です)による3ユニットのブリッジもとても美しく充分な強度を持って口腔内へ装着することができるようになりました。

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様々なセラミックスブロック(銀座メディカルデンタルクリニック)

現在は、160MPa強度のips empress CAD, CELEC Blocs.  400MPaのe.max CADを用途によって使い分けて使用されています。

例えば、160MPa ならばインレー、アンレー、クラウン等。400MPaならばクラウン、ブリッジ、審美ゾーン等というようにです。

更に現在は、インプラントの上部構造専用のCADセラミックスブロックも普及してきました。益々安全で予後の期待がさらに高まったオールセラミックスによる歯がより日常的に普及していくことでしょう。

 

 

 カテゴリ:セラミックス, 審美歯科, 銀歯